山吹味噌は、信州小諸で創業340余年。
上質な本物の味噌をお届けします。

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 明智光秀ゆかりの猪汁を出す店に行かないか、と友人。曰く、光秀の浪人時代、輪番制で味噌汁を出す汁講の番が同ってきたときに奥さんが髪を売ってもてなした猪汁を再現しているとのこと。食べてみたいねえ、いずれ一緒に行こう、となりましたが、光秀の妻が髪を……という黒髪伝説は聞いたことがあるものの、光秀が汁講!?猪汁を出した!?そんな説あったかなぁとモヤモヤも少し残りました。  いわゆる黒髪伝説とは――越前・称念寺にて浪人中の光秀に住職が仕官につながればと連歌会の段取りをしてくれますが、日々の糧すら欠く毎日。困り果てる光秀に妻は「お任せあれ」。会が終わって後、どう工面したのか問うと「黒髪を切って売りました」。女の命である髪を切ってまで自分に尽してくれる妻に報いるため光秀は一念発起し仕官の旅へ。朝倉氏、そして織田信長の下で頭角を現していく後半生、妻から受けた恩を常に忘れません、というもの。江戸初期には、かの芭蕉が「月さびよ明智が妻の話せん」と詠み、読本や芝居の材ともなり、多くの人々が知る伝説となったのでした。  では、光秀=汁講・猪汁情報はいずこから?現代はネット検索というものがあって便利ですね。すると光秀=汁講について『名将言行録』という書物がヒット、「光秀貧賤のころ朋友が集まって輪番に汁講して談話した/妻が髪を切ってあつらえた」と載るということがサクサク出てきました。  実際この目で見たく 図書館に向かいますと、明治2年に刊行されたというその本は武将178人の言行事蹟をさまざまな書物から抜粋した全70巻の大著ということで一般図書館にて見ることが出来たのはダイジェスト版。そこに光秀は取り上げられておらず残念無念。  しかし、『武士のメシ』(永山久夫著/宝島社)を見つけました。永山氏といえば大河ドラマの食事の再現や時代考証を手掛けてきた食文化史研究の第一人者です。その本に登場させた19武将の中に明智光秀もいて、見出しはまさに「汁講の膳」。本文内で氏は「『名将言行録』に妻が髪を売って……というエピソードを記すともに、「『名将言行録』には具材に関する記述はないため、当時の味噌汁の具として一般的だった里芋、ごぼう、ねぎを入れ、さらに豪勢さを表現するためにイノシシ肉を加えて、光秀の汁を再現」と記し、猪汁や汁講に客人各々が持参したであろうメンパに入ったご飯の再現写真を掲載していました。  光秀ゆかりの猪汁をますます食べたくなりました。ちなみに『名将言行録』の徳川光圀(水戸黄門)の項にも汁講の話が登場するようです。編纂に要した幕末期、汁講の語は武将たちの戦い以外の人柄を伝えるに格好の題材だったのかもしれませんね。  はてさて、明智光秀の話題から飛んで、時は昭和半ば、私は京都の四条あたりをぶらついておりました。腹の虫が鳴って食べ物屋を物色。白い大暖簾に惹かれて入りますと定食があり、汁ものは赤・白味噌、すましから選べるというので、せっかく京都に来たのですから白味噌で注文。口福を得たことでした。 “志る幸”さんは今も盛況のようです。店名の由来が「汁講」にあると知ったのはつい最近のこと。この年になるまでとんと気付かなかったとはお恥ずかしい限り・・・・。

(当主)

味噌を入れるタイミングは、具材に火が通っての“にえばな”で 火を消すタイミングは再びの“にえばな” 。 でも、 そもそも、にえばなって何? にえばなとは?  “にえばな”は煮え端と書きます。端(はな)とは、その状態に入ったすぐ後のこと。端の用例に「寝入りばなに起こされた」なんていうのもありますが、調理の場合、汁物や煮物の具材に火が通って煮立ち始めた状態です。  味噌汁作りで味噌を溶き入れるタイミングは、 まさにこの時。勢いがいったん鎮まって、 再び汁の上層が下からゆらゆらしてきたら=煮え端になったら火を止めます。味噌の香りがいちばん引き立つ、 このコツは昔から伝えられてきたことですが現代科学でも実証されています。 香り成分  味噌特有の風味は、大豆が麹菌、酵母、乳酸菌によって発酵・熟成中に生成されたものです。味噌の香り成分を分析すると何と200種類以上もあり、炭化水素・アルコール・アルデヒド・エステル・有機酸(酢の仲間)の5グループに分類されます。  香り成分は気体になって鼻に来ることで初めて香りとして感じられます。温度が低いうちは気体にならず、加熱するとともに気体になりやすくなります。問題は、香り成分には気体になりやすい物質とそうでないものがあること。少し加熱するだけで揮発してなくなってしまう香りがあれば、長く加熱しないと香らないものもあるわけです。一番気体になりやすいグループのアルコール類がまだ汁に残っていて、 最も気体になりにくい有機酸も気体になって出てきている状態は90℃以上のとき。この時がいろんな香り成分がバランスよく味噌汁から気体になって飛び出していて、複雑ないい香りになるとされます。 煮え端は煮え花  お味噌汁のコツはタイミング!お分かりいただけましたか?プラスワン、煮え端は煮花にばなともいい、煮え花とも書きます。そのわけは――煮え立つ鍋内の汁の動きにアリ――見立てた先人を尊敬します。 6月、新型コロナウイルスの感染の広がりを防ぐために、政府は専門家会議からの「新しい生活様式」提言を踏まえ、感染防止の3つの基本①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗い、をあげ、移動に際する注意や、日常生活では場面ごと(買い物や娯楽・スポーツなど)の実践例を示しました。 そのうち、食事場面では、◯持ち帰りや出前、デリバリーも◯大皿は避けて料理は個々に◯お酌、グラスやお猪口の回しのみは避けて、等の生活様式が望ましい、と明示。 自粛要請を受けて、企業は可能な限り社員の在宅勤務に移行しました。結果的に外食が滅り、内食・中食の割合が格段に増えたのでした。 振り返ってみますと、8本の社会が少子化・核家族化するにつれ、食事スタイルも変化して一家がそろってテープルを囲むことが少なくなると同時に、お米の消費は激滅し、ご飯とみそ汁という組み合わせは時代に合わなくなったとも思われました。 みそ汁の味付け役である味噌は800年程の時をかけて、日本人の食事のパートナーとしての役割を担い、健康長寿の下支えをしてきたものです。庶民が白いご飯を満足に食べられない江戸時代や明治期も、世界大戦の敗戦を経験して、少しずつ豊かになって大きく経済成長を遂げることが出来るようになった時期も、味噌は毎日少量ではありますが、野菜や海藻、魚や肉類と一緒にいつも身近にありました。 みそ汁のもたらす恩恵は食事における主役のような華々しさはないでしょうが、名わき役がドラマや舞台で重要なように、いつもの食事に欠かさずいて、栄養の一部と醗酵から得られる健康に不可欠な微量成分の提供者として再認識されてほしいものです。 400年ほど昔の江戸時代の人は科学的に深い知識はなかったものの、長い経験から味噌を「身礎」と称し、「味噌の医者いらず」などの言薬も残してきています。味噌の効用解明は大分進んできていますが、まだまだ深い奥がありそうな宝の山と言っても言い過ぎではないと思います。 ここへ来て、みそ汁の出現頻度が高まっているようです。人類は何度もウイルス禍に見舞われ、その都度乗り越えてきました。今回の禍の収束を祈りつつ、味噌という身近な宝物に気付いてもらえればと願うものです。

( M・T )

 新年を迎えてほどなく、最初のうちは中国国内だけで起きていたことのように感じていたものが、だんだんと広がりを見せ、そのうち気が付けば、世界は新型コロナウィルス感染症の脅威にさらされて、4月からは強制的に世の中の活動が停止させられたような状況になってきています。夏のオリンピックも延期になりました。  微生物の中でも最も小さなものとして分類されるウィルス属にこんなにも混乱させられるとは、誰も予想をしなかったことだと感じています。こんな時だからこそ、ご自身や家族の健康に思いを馳せ、どんな食生活が望ましいのかに関心を持っていただければと願い、みそ作りにとって一番身近なもの、良く知られているお味噌の効用をまとめてみました。
  1. みそはガンのリスクを下げる
    • 1日3杯以上のみそ汁で乳ガンの発生率が40%減少(厚生労働省研究班)
    • みその塩分は胃ガンを促進しない(広島大学・渡邊敦光名誉教授)
    • 喫煙者が毎日みそ汁を飲むと死亡率は低下する(国立がんセンター・平山雄博士)
  2. みそは生活習慣病のリスクを下げる
    • みそは脳卒中、痴呆症、心臓疾患などの発症を低下させる(大妻女子大学・青木宏教授)
    • みそ汁のある食事パターンが骨粗鬆症に効果(㈶癌研究会付属病院・陳瑞東医長)
    • みその褐色色素が糖尿病の改善に期待される(女子栄養大学・五明紀春教授)
  3. みそは老化を防止
    • 醗酵によってみそに老化制御機能が生まれる(東京農業大学・小泉武夫教授)
    • みそは熟成過程で抗酸化力を高める物質が生まれる(東京大学名誉教授・加藤博通)
  4. その他の研究
    • みそには血圧低下作用を持つ物質がある(食品総合研究所・河村幸雄室長)
    • みそには美白効果がある(食品総合研究所・新本洋士主任研究員)
そして今、新型コロナウィルス感染症の対策として「免疫力を高める」ということがさかんに言われるようになりました。 <免疫力とは、人の体に本来備わっている自然治癒力で、身体の中の自分とは異なる異物を認識し排除する力です>と説明されていますが、数値的な指標が定められているものではありません。 これは、以前より紹介をさせていただいている秋月辰一郎先生の書かれた「体質と食物」の[体質]とも共通するもののようにも思いますし、醗酵食品を多く食べることで、腸内菌叢が活性化し、腸内の善玉菌が増えることで食べ物などと一緒に侵入してきた有害な細菌類やウィルスをブロックして体内に吸収させない仕組みが働いて健康を保つことにも繋がる醸造の恩恵です。免疫力アップにも役立つ味噌汁を毎日ご愛飲、そして味噌を使った料理を沢山ご利用ください。
秋月辰一郎先生
秋月辰一郎先生
体質と食物
体質と食物
  息災を願う、特別具材のお味噌汁  昔、貴族や武将たちが客人の息災を願ってもてなした集め汁はいわば格上のお味噌汁でした。主人側は遠くから海産物を運ばせたり、空に飛ぶ鳥を撃ち落としたり、山や畑の美味なる食材集めるのに走り回ったわけで、まさにご馳走! 江戸時代になると庶民も身近な具で楽しんだそうで、当時の料理書『鯛百珍』には薩摩鯛の集め汁が載り、江戸の町で鹿児島の桜鯛を手に入れたのかと驚きます。 今の時代に私たちが作る集め汁  高級食材や手に入りにくいものを無理に集めなくても、気持ちを込めて集めることが大切。干しシイタケや干瓢、高野豆腐など乾物、大根、人参、ゴボウなどの根菜‥‥ある程度、保存がきく食材は日頃からストックしておくと何かと便利、集め汁にも重宝します。魚は水煮缶詰でもいいじゃありませんか。 味付けは味噌  味付けは醤油がなかった昔にならって味噌。いろいろな素材からおいしいダシ・旨みが出ますから特別にダシを加えなくてもOK。舌と鼻の感覚を呼び覚ましましょう。 美味で栄養バランスもよく、発酵食品・味噌の効能もあって免疫力・抵抗力に一役買うこと間違いなしの集め汁。盛り付ける際は、お椀に具・汁を入れて最後に、決めてとなる食材を真ん中に高めに盛るのがコツ。ご馳走感が出ます。味わっていただきましょう。  

集め汁はダシ不要。さぁ、作ってみましょう!

【材料】

魚肉・豆腐など、野菜(大根、ゴボウ、ネギ、菜類、干しシイタケなど)、味噌

【作り方】

  1. 下準備 ―――― 観物類は戻しておきます(戻し汁をダシとして使ってもよい)。鯛など生魚を使う場合は一口大に切り、金串に刺して焼くか、沸騰湯をかけます。ほかの具は食べやすい大きさに切ります。
  2. 根菜・乾物は自ら過熱し、火が通ったら魚または肉を入れて、浮いてきたアクを取り除きます。
  3. (葉物・豆腐類・水煮缶類は、この時点で加え、沸騰後に)味噌を溶き入れて出来上がり。
立ちくらみしませんか?自覚はないのに健康診断で貧血と指摘された!? 症状ある方も、そうでない方にもぜひおすすめしたい給食メニューがあります。 レバー料理が苦手な方にも 子どもが学校から帰ってくるなり「作って!」と言って見せてくれた給食メニュー名が「レバーの味噌ケチャップあえ」。給食は管理栄養士さんが子どもたちのために考えてくださる最良メニューです。そしてレバーは栄養的に、特に貧血対策にベストな食材。でも子どもたちは正直ですから、美味しくなければ残す。あるいは無理にでも食べさせられる(嫌々食べたものは体によい働きはしないと言われています)。そんななか、味噌ケチャップ和えのレバーはリクエストがかかるほどのおいしさということでレバー料理が苦手なアナタも試してみる価値アリです。 レバーの臭みを消し、栄養価も高くする味噌の味付け レバーが苦手な人は、素材の見た目、最初に食べたときのにおい・舌ざわりなどがよくなかったのでしょう。その点、この料理はレバー好きには邪道かもしれませんが、油で揚げたり味噌とケチャップで味付けすることでカモフラージュ(!?)ならぬ相乗効果を上げています。 お味噌の栄養価については山吹味噌リピーターなら既にご存知ですよね。 どのお味噌が合う? 普段お使いのお味噌でどうぞ。強いておすすめするなら、〈黄金〉〈赤つぶ〉〈玄米〉は油料理にも存分に使えて、高温料理しても風味が生きています。 ぜひご家庭でも作ってみて、健康に役立ててください。 給食レシピ(再現)

●レバーの味噌ケチャップあえ

【材料】

豚レバー、ショウガ、醤油、酒、片栗粉 タレ(味噌、ケチャップ)

【作り方】

  1. 豚レバーを食べやすい大きさに切り、すりおろしたショウガ、醤油、酒で下味を付けます。タレの材料は混ぜておきます。
  2. 下味を付けたレバーに片栗粉をまぶして揚げます。
  3. 揚げたレバーにタレをからめれば出来上がり。
*レバーを切った後に湯通しすると臭みが抜け、調理もしやすいです。鶏レバーの場合は揚げずに焼き色が付くよう炒めましょう。
冬は寒さがひとしおの長野県で味噌造りを続けています。 同じ県内でもマイナス15℃以下で乾燥・凍りづけになる地域と、それほどの低温にはならないものの、たくさんの積雪で3か月位は雪に閉ざされてしまう地域があります。当社には後者、積雪が多い地域の特徴を熟成に生かした商品があります。10年目を迎える「雪中熟成」味噌です。この味噌が今年は予想もしない異変に出遭ってしまいました。豪雪で知られる長野県の北部・飯山で作り続けてきた味噌なのですが飯山は90年ぶりの少雪。飯山住民のほとんどが未体験の、あるいは昔語りに聞いたかもしれないという少なさで、地域の代表的な行事「雪まつり」も雪が不足で雪像が出来ず、20キロ離れた山から大型のダンプで搬入をしてやっと開催にこぎつけたとのこと。 それでも12月のうちはこんなこともあるのかな、くらいにしか思わず、寒さが厳しくなくて過ごしやすい正月だと小諸の地で思っていましたが正月三が日が過ぎたころから飯山の積雪が気になって仕方なくなりました。雪中熟成の味噌は毎年、成人式の祝日を過ぎたあたりで埋め込みの日程を立てており、輸送のための予約を運送会社に依頼しなくてはならないからです。年始の仕事はじめの翌日、まずは17日をその日と定めて手配しました。その時点で確認をとった飯山の現地は降雪ゼロでした。成人の日があった連休週明けに確認をしたところ、雪は少し降ったものの、10センチ程度が積もる畑以外の積雪はゼロとの返答。手配をしたトラックのスケジュール変更を慌てて行い、次の手配をすぐ翌週とはせず、改めて確実と思えた1月最終の27日に定めて積雪を待ちました。気が気でならない降雪情報は成人式の翌週も空振り続きでこの変更をした日程も中止せざるを得なくなり‥‥暦の上で寒さが一番厳しい大寒の日もせいぜいマイナス3℃位にしかならず。 経験のなかった自然現象の前に打つすべはないのかと一時は諦めましたが、頭を切り替えて可能な場所を探しましたところ、標高が高い地元・小諸市の高峰高原なら可能ということになり胸をなでおろしたのは言うまでもありません。その後、2月中旬より日本列島に寒気が覆いました。場所や埋め込みの手立て等はいつもと勝手が異なりますが後は天に祈って雪中熟成味噌の出来上がりを待っています。

( M・T )

例年2月の積雪
例年2月の積雪
例年の埋め込み
例年の埋め込み
冷え性が増えている!? この時季、一度手足が冷たくなるとなかなか温まらなくてツライですよね。冷え性は以前は女性の2人に1人、男性は10人に1人程度といわれていたものが最近では女性男性ともに増えているそうです。生活環境の変化、パソコンやスマホの影響もあるのでしょうか。 冷え症の人は、体が十分な熱を作れない。血液循環が悪く体の隅々まで熱を運べない→からだは寒さを感じると命を守るため、末梢血管を収縮して熱を中心に集めようとする→体の末端=手足などで冷えが起こる→なかなか温まらない。そのため頭痛・めまい・肩こり・頻尿・寝つきが悪く起きられない等さまざまな不調を引き起こす、のだそうです。 冷えにくいからだは作れないのでしょうか? 保温・運動・リラックス、何より食事 毎日の生活習慣で冷えにくいからだを作りましょう。 外出時は首まわり(首・手首・足首)を防寒し、暖房が効いている場所では調節〔保温〕。寒さを感じたら肩を回し上半身の筋肉を動かして熱を作る/ストレッチ・ヨガなど〔運動〕。ぬるめのお風呂に入る/深呼吸〔リラックス〕。必ず朝食/温かい飲み物/鍋料理〔食事〕。 お味噌でパワーアップ 一日のうち、体温がもっとも低いのは起床前ですから、朝食を食べて体温を上げましょう。起き抜けに、まずは白湯を飲み、次に温かい汁物=味噌汁を(フリーズドライ味噌汁や味噌丸が便利です)。その際、より熱を作るタンパク質を意識してください。一番簡単なのは玉子を落としたお味噌汁です。 夕食には、タンパク質と野菜をたくさんとれる鍋料理がおすすめです。水菜など旬の野菜とビタミンBが豊富な豚肉を白湯(+昆布)でしゃぶしゃぶ。タレは胡麻油を混ぜた酢味噌、刻みネギや生姜おろしの薬味にすれば、ほら、足の先まで温まってきたでしょう? 日本人の平均寿命が世界のトップクラスということもあり、健康的な日本食に対する人気は世界中で高まっています。にもかかわらず、圧倒的に健康効果に関する科学的な証明が少ないというのは多くの専門家が指摘する弱点です。こんな状況の中、どのような日本食が健康にいいのか、その理由はなぜかという研究が少しずつ進み始めています。 9月25日、京都大学で「みその機能性探索と微量成分のふしぎ」(みそサイエンス研究会主催)というシンポジウムが開催されました。この中で、味噌に含まれる成分による腸内細菌叢改善作用や抗炎症作用、亜鉛欠乏の予防効果、抗肥満効果といった機能性が報告されました。 アミノ酸の化合物・ペプチドに詳しい京都大学大学院農学研究科の佐藤健司教授は、「味噌中の小さなピログルタミルペプチドの大きな機能」をテーマに講演しました。同氏らの研究では、味噌中に親水性、疎水性のピログルタミルペプチドが存在し、親水性は旨味を持ち、疎水性は大腸菌マウスの腸内細菌叢の乱れを微量の経口摂取によって抑制することを明らかにし、また同ペプチドが抗菌ペプチドの産生を増加させることで腸内細菌叢を改善する最近の成果も発表し、「これまでにない新しいメカニズム」と報告しました。 発酵でできる物質というと、乳酸菌が作る乳酸などの有機酸、酵母菌による炭酸ガスやアルコールなどはよく知られていますが、発酵はそれ以外にもいろいろな物質を作ります。アミノ酸、ペプチド類もその一つで、麹かび(麹菌)の発酵によって増える総称ピログルタミルペプチドは、由来が分かりやすいように今は「麹発酵ペプチド」と仮称され、味噌、醤油、日本酒など麹菌を使用した醸造食品に多く含まれており、さまざまな研究が進んでいるところです。「1970年代から日本人の味噌、醤油、日本酒の摂取量が減っている食生活の変化に伴い腸内環境が変化し、生活習慣病の増加につながっている」可能性を示唆しました。 食生活が安定した1960年から年代別に、日本で日常的に食べられてきた食事の特徴を分析し、その健康効果を研究しているのが東北大学大学院の都築毅准教授です。マウスを使った試験では、国民健康・栄養調査をもとに1960年、75年、90年、2005年それぞれの時期の日常食を再現、それを粉末化し、8週間食べさせた。その結果、1975年の食事が最も内臓脂肪がたまりにくく、寿命も長く、認知機能も良好だったことを発表しています。この研究グループは1975年型の日本食を軽度肥満者、健常人がそれぞれ4週間にわたって食べ続ける試験を実施しました。すると、同じ期間に現代食を食べた群に比較して、軽度肥満者群ではBMI(体格指数)や体重が減り、血糖値やコレステロール関連指標にも改善が見られ、健常人ではストレスが軽減し、運動機能が向上したという差を明らかにしました。これらを受けた形で、京都大学の佐藤教授は「味噌、醤油、日本酒といった麹かびを用いた発酵食品の摂取量がほかの時期の食事に比べて多い。例えば、味噌汁は2005年の週3回に対し、1975年には週7回と倍以上食べていた」と指摘し、毎日の味噌汁が大いに有効であることを裏付けました。麹の奥深い働きに改めて感謝です。

( M・T )

きのこは、木ノ子で菌で茸  秋の静かな山に入って、スーッとするような香気に包まれていたら、その香気のもとは草木、朽木、苔、腐葉土であり、それらの賜物である〝きのこ〟から発せられているのです。 林の中できのこがポツン、またポツンと現れたり、群生している姿はまるで木の子どもたちのよう。大木の根元のふかふかした土から頭をのぞかしている菌(きのこ)、倒木から耳のように生えている茸(きのこ)‥‥ほとんどは他者に食べられないよう自衛している毒キノコなのでスルーして、安全と分かっているきのこだけを採るわけですが、信州人が採りたい一番はジコボウです(一般名はハナイグチ/ イタリア人が大好きなポルチーニも同じ仲間)。その味・香り、ぬめりがあるのにシャキッとした食感は雑きのこと一くくりするにはあまりに惜しく、匂いマツタケ・味シメジに勝るとも劣らないのではないかと思います。 おいしくて健康によいきのこ たとえ採れずに終わってもきのこを探しながら歩く時間は心身リフレッシュそのものです。一方、栽培きのこは近年ますますおいしくなりました。菌と書くようにきのこは菌類で、お山ではマツやケヤキの木の根や朽木に菌糸を伸ばして養分をいただき、それぞれ独特の風味が持ち味となります。原木栽培・菌床栽培も理屈は同じ。 和食が世界遺産登録された際、私達日本人が日常的に使う〝旨み〟という語がそのままUMAMI として世界に伝えられました。旨みの三大成分はイノシン酸・グルタミン酸・グアニン酸で、きのこには後者2つを含有しているものが多いとか。道理でおいしいわけです。 きのこは成分的にはほとんどが水分でミネラル豊富、カルシウム代謝に重要な役割を果たすビタミンDを含むため骨粗しょう症の予防のほか、免疫力を高め、ウィルスに対する抵抗力も期待できるそうです。カサはあるのに低カロリーで繊維質が便秘予防になるというところも嬉しいですよね。 きのこ汁! 料理法は炊き込みご飯、酢の物、炒めてパスタにと何でもござれ。でも、その風味と栄養をまるごととれて、かつ簡単なのはきのこ汁=きのこのお味噌汁でしょう。 お店で出されるナメコ汁は赤だし(豆味噌)が多いですが、信州味噌(米味噌)はどのきのこにも合う気がします。どちらかと言えば粒々が多少ある味噌で、山吹味噌なら「久左衛門」「コクとかおり」「赤つぶ」がおすすめ。 ただしエノキタケと豆腐の味噌汁には「白こし」が一番合います(あくまで個人的な意見です)。 この秋は何種のきのこに出合えるでしょうか?あなたのお好みできのこ汁をお楽しみください。