山吹味噌は、信州小諸で創業340余年。
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山吹のたより

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2020.11.04

「豫約醸造」

 「大切なあの方に食べてもらいたい」、こんな思いを込めた特別な商品が山吹味噌に受け継がれてきました。永い間広く一般に宣伝をすることなく、限られたお得意様だけにご利用いただいてきた商品・「豫約醸造」です。
 文字通り、味噌の醸造を前もって予約していただくということなのですが、予約時期は年初ころというのが決まり。お客様が、その年の暮れのお歳暮用として、手塩と時間をかけて醸された特上の味噌を贈るために、約一年前の、すなわち仕込み作業を始める以前の年明けごろに蔵元(弊社)に予約発注。受けた蔵は1月の下旬、1年で一番寒いとされる大寒の時期に、新しく収穫された新穀の大豆を使い、じっくりと仕込んでゆっくり育てる──というもので、近年はお知り合いにプレゼントするだけでなく、ご自身が自家用に購入いただく方々も増えてきました。

 「豫約醸造」ならではの味噌造りの様子をもう少し詳しくお伝えしましょう。大寒の時期、天然熟成の蔵に収められた味噌の温度は当初外気が零下の寒さゆえ、一旦は0度近くまで下がった後、春の到来に合わせてゆっくりと上昇していきます。本当に少しずつの変化を重ね、6月の後半になると蔵の管理者ならば見分けられる程に醗酵が始まります。この後しばらく経つと誰の目にも活きて動いているのが分かるようになります。
 夏の最中の、8月のお盆前、醗酵はピークを迎え、暑い日ざしの中で天地返しと呼ばれる手入れを行います。
 その後、秋風が吹いて涼しくなるまでの間、夏の温度をどこまで保つか、涼しさをいつ取り込むか、桶の中の味噌の顔色をうかがいながら、蔵内の温度を調整していきます。
 夏の主醗酵の後は後熟と呼ばれ、秋の静寂の中で香りが作り出されます。こんな経過を含め、ほぼ10ケ月を経た後、味噌は完熟を迎え、熟成蔵から出されて小袋やカップに充填され、出荷へと回されます。

 一般の味噌はメーカーが自社規格で生産したものを店頭等にて不特定多数のお客様にいつでも選んで購入していただく、というスタイルなのに対し、「豫約醸造」は買う人が予め必要な量だけの仕込みを蔵に注文し、出来上がった時にそれを引き取ってギフトなり、自家用に使用してもらいます。予約をしておかなかった時は入手することが出来ない、という限定の商品となっています。
 お気付かれたと思いますが、商品名に用いている予約のヨの字は旧字の「豫」。これはお客様と私ども、相互の信頼関係を象徴する商品でありますことから、代々が用いてきた文字遣いをそのまま受け継がせていただいています。
 来年へ向けて、お考えになってみてはいかがでしょうか。

( M・T )

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