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山吹のたより

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2019.11.01

やっぱりあるある 麹の力

日本人の平均寿命が世界のトップクラスということもあり、健康的な日本食に対する人気は世界中で高まっています。にもかかわらず、圧倒的に健康効果に関する科学的な証明が少ないというのは多くの専門家が指摘する弱点です。こんな状況の中、どのような日本食が健康にいいのか、その理由はなぜかという研究が少しずつ進み始めています。

9月25日、京都大学で「みその機能性探索と微量成分のふしぎ」(みそサイエンス研究会主催)というシンポジウムが開催されました。この中で、味噌に含まれる成分による腸内細菌叢改善作用や抗炎症作用、亜鉛欠乏の予防効果、抗肥満効果といった機能性が報告されました。

アミノ酸の化合物・ペプチドに詳しい京都大学大学院農学研究科の佐藤健司教授は、「味噌中の小さなピログルタミルペプチドの大きな機能」をテーマに講演しました。同氏らの研究では、味噌中に親水性、疎水性のピログルタミルペプチドが存在し、親水性は旨味を持ち、疎水性は大腸菌マウスの腸内細菌叢の乱れを微量の経口摂取によって抑制することを明らかにし、また同ペプチドが抗菌ペプチドの産生を増加させることで腸内細菌叢を改善する最近の成果も発表し、「これまでにない新しいメカニズム」と報告しました。

発酵でできる物質というと、乳酸菌が作る乳酸などの有機酸、酵母菌による炭酸ガスやアルコールなどはよく知られていますが、発酵はそれ以外にもいろいろな物質を作ります。アミノ酸、ペプチド類もその一つで、麹かび(麹菌)の発酵によって増える総称ピログルタミルペプチドは、由来が分かりやすいように今は「麹発酵ペプチド」と仮称され、味噌、醤油、日本酒など麹菌を使用した醸造食品に多く含まれており、さまざまな研究が進んでいるところです。「1970年代から日本人の味噌、醤油、日本酒の摂取量が減っている食生活の変化に伴い腸内環境が変化し、生活習慣病の増加につながっている」可能性を示唆しました。

食生活が安定した1960年から年代別に、日本で日常的に食べられてきた食事の特徴を分析し、その健康効果を研究しているのが東北大学大学院の都築毅准教授です。マウスを使った試験では、国民健康・栄養調査をもとに1960年、75年、90年、2005年それぞれの時期の日常食を再現、それを粉末化し、8週間食べさせた。その結果、1975年の食事が最も内臓脂肪がたまりにくく、寿命も長く、認知機能も良好だったことを発表しています。この研究グループは1975年型の日本食を軽度肥満者、健常人がそれぞれ4週間にわたって食べ続ける試験を実施しました。すると、同じ期間に現代食を食べた群に比較して、軽度肥満者群ではBMI(体格指数)や体重が減り、血糖値やコレステロール関連指標にも改善が見られ、健常人ではストレスが軽減し、運動機能が向上したという差を明らかにしました。これらを受けた形で、京都大学の佐藤教授は「味噌、醤油、日本酒といった麹かびを用いた発酵食品の摂取量がほかの時期の食事に比べて多い。例えば、味噌汁は2005年の週3回に対し、1975年には週7回と倍以上食べていた」と指摘し、毎日の味噌汁が大いに有効であることを裏付けました。麹の奥深い働きに改めて感謝です。

( M・T )

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